準備委員長挨拶

-健康心理学によるエンパワメント-

日本健康心理学会第28回大会準備委員長
森 和代(桜美林大学)

 北海道から沖縄へ日本列島を縦断してつないだ日本健康心理学会の大会のバトンが、首都圏に戻って参りました。28年の学会の歩みにより、学問分野として全国的に浸透したことの表れではないかと感じております。

2015年は、主催校である桜美林大学にとって記念すべき年といえます。日本ではじめての健康心理学科の発足から15年、その後改組により、新たに健康福祉学群が設置されてから10年にあたります。この節目の年の9月5日・6日の2日間に、日本健康心理学会第28回大会を担当させて頂くこととなり、誠に光栄に存じます。

第28回大会は、メインテーマとして「健康心理学によるエンパワメント」を掲げました。「エンパワメント」は、耳新しいことばではありませんが、さまざまな人々の生活の質の向上をめざす、実学としての健康心理学の原点に立ち戻るという視点に基づき、メインテーマとして掲げました。少子高齢社会の道を歩む現代のわが国において、人々の健康寿命を延長し、より豊かな生活を支援するために、健康心理学のエンパワメントは欠かすことができません。明るい明日のために、ご一緒に健康心理学によるエンパワーの方略を検討致したいと考えております。多くの皆様の積極的なご参加と活発な討議を期待しております。

今大会では、エンパワメントの方法論として着目され、知見が積み上げられている「コーチング」に焦点を当て、Sydney大学コーチング心理学研究所副所長のDr. Michael Cavanaghを招聘し、“Coaching for Health - a pathway for enhancing outcomes”と題する招待講演ならびにワークショップをご担当頂く予定を組んでおります。他に、国立天文台教授の阪本成一先生が「宇宙と健康」という公開講座をご担当くださいます。桜美林大学最寄り駅のJR横浜線「淵野辺」は、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)相模原キャンパスがある相模原市に位置し、相模原市は、「はやぶさの故郷潤水都市さがみはら」と名付けられているご縁により講座が実現しました。

また、準備委員会企画シンポジウムとして、「健康心理学によるエンパワメント―認知行動療法の視点から」「痛みに対する健康心理学的アプローチの可能性を考える」や、準備委員会企画教育講演、委員会企画シンポジウム、会員企画シンポジウム、ヤングヘルスサイコロジストの会シンポジウム、準備委員会企画ワークショップ、研修会など、バリエーション豊かなプログラムを組んでおります。

おかげさまで会員の皆様のご協力により、349名の方々の事前参加申し込み、151件のポスター発表の申し込みをいただくことができました。

本学教員、院卒業生など桜美林大学に連なる日本健康心理学会会員が、皆で力を合わせ、活気あふれる大会をめざして、精一杯準備に取り組み、皆様のご参加を心からお待ちしております。どうぞよろしくお願い致します。