一般社団法人日本健康心理学会禁煙宣言

 一般社団法人日本健康心理学会(以下,本学会という)は、健康心理学に関する研究を推進し、その成果の普及に貢献すること、及び会員相互の知識の交流と理解を深めることを目的として、様々な事業を行ってきました。特に、喫煙行動については、メンタルヘルス・依存問題と深く関わっていることから、禁煙そのものに関わる研究のみならず、喫煙に代わって用いられる健全なストレスマネジメント方法の検討、またそれらの普及啓発等に関わることは健康心理学的意義がきわめて大きいと考えています。
 日本健康心理学会では、喫煙の害について多くのエビデンスが提出されているにもかかわらず、喫煙を肯定しているあらゆる学術活動に対して反対表明を行います。そして、以下のように、タバコのない世界の実現に向けた実践を宣言します。

1)
心身の健康を維持した人生を送るためには、喫煙習慣をもたないことがきわめて重要であり、本学会は、これに貢献する行動科学的な研究・実践を推進する。
2)
本学会は、喫煙予防や禁煙支援など、タバコのない社会を実現するための効果的実践法の開発と普及をめざす。
3)
本学会が管理・運営する学術集会や研修会の機会においても非喫煙を推進し、学会員が非喫煙者であることをめざす。
4)
本学会および本学会員は、タバコ産業やその出資金で運営される団体からの助成や研究支援を受けない。研究支援を受けた研究は本学会での発表を認めない。
5)
本学会は、タバコのない世界をめざす他の医療団体などと協力・連携し、禁煙活動を政府および関係機関に働きかける。

2017年8月10日


一般社団法人日本健康心理学会カジノ法案

 統合型リゾート施設(IR)整備推進法案が今国会で可決されようとしています。同法の成立によって、もっとも懸念されるのが、ギャンブル依存症患者の増加およびカジノを核とする大人から子どもまで遊べるリゾート施設が、次世代を担う青少年に及ぼす悪影響です。
 賭博が法的に禁止されている日本では、ギャンブルは認められていないことになっていますが、実際はパチンコ・パチスロ、公営ギャンブルである競馬、競輪、オートレス、競艇、宝くじなどが認められており、厚労省研究班が13年に行った調査は、推計536万人にギャンブル依存症の疑いがあると報告しております。
 ギャンブル依存症は、アルコール依存症などの他の依存症と同様にギャンブルへの強迫的なとらわれ、渇望、コントロールの喪失を引き起こします。そして、心理的、社会的なトラブルとして、うつ、自殺念慮、自己破産、家庭崩壊、時には、ギャンブルをするお金欲しさに、横領等企業犯罪、強盗、殺人などの重大事件などが挙げられます。このように、ギャンブル依存症は、本人のみならず、家族、社会を巻き込む深刻な病気ですが、十分周知されることなく、治療施設もほとんどないのが現状です。
 国民の健康維持・促進に貢献することを責務と考えてきた健康心理学会は、カジノ解禁を旨とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法の成立に強い懸念を表明するとともに、これまで、なおざりになれてきたギャンブル依存症の発生予防、支援に積極的に取り組むことを誓います。

2017年8月10日

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